オーガニックコットンとコットン何が違うの?
一般的な綿とオーガニック綿の見た目や性能の違いはありません。
普通の綿花栽培では大量の化学肥料と農薬が使用されていますが、各国で規制が設けられている為残留農薬はとても少ないのです。ではどこに違いがあるのでしょうか?
●コットンについて
綿花とも呼ばれ、アオイ目アオイ科に属します。
日照が強く乾燥していて雨が少なく、風の強い気候で発生し進化しました。
石油由来で合成繊維と比べ、石油使用量はその栽培から製品までで1/5と言われています。
生分解性が良く海洋マイクロプラスチックの問題も起きません。
●コットンの良さ
・吸湿・吸水性が良く、保温性とバルキー性(ふんわり嵩高)に優れます。これは天然の撚りなどによるものです。
・風合い・染色性に優れます。また静電気が起きにくく(非帯電性)、濡れると強いと同時にアイロンなどの高温に耐える耐熱性があります。セルロースの特性によります。
・繊維の角が尖っていないためチクチクしづらい特長があります。
・ルーメン(繊維の中心にある空間)による軽さと温かさ。ボリュームの割に軽くて暖かい
などが挙げられます。
●オーガニックコットンとは?
・オーガニックコットンの定義は、
農業分野においては「2〜3年以上の移行期間でのオーガニック基準に沿った栽培(殺虫剤や除草剤などの農薬不使用・有機栽培・遺伝子組換え種子不使用など)を経て認証された農地で、有機栽培されたもの」です。
テキスタイル分野では、「オーガニックの原料繊維を環境負荷の少ない製造加工を行い、追跡可能性を重視するもの」です。オーガニックテキスタイル認証ではGOTS がこの考え方で、世界的な主流となっています。
一方、オーガニックが少しでも含まれていれば製造加工などは一般的なコットンと同じでよいという考え方もあり、この場合は含有量が正しいかどうかが等が確認されます。より加工がしやすく様々な表現が可能です。
・一般的なコットンの状況
世界の綿花生産は85か国1億人・3,300haの畑・2500万t(20年度はパンデミックの影響で51か国・2450万tに減少)となっています(cotton incorporated:Monthly Economic Letter)。耕作面積が過去60年で変わらない中、生産量は増加しています。
品種改良された品種は、特定の病害虫に強い遺伝子組換えを行い化学肥料と農薬を使用することで、大量収穫を目指します。途上国の綿花栽培では、合成肥料と農薬の過剰使用による環境汚染、農薬の健康被害、児童労働、高価なGMO綿花(遺伝子組み替え綿花)による農家の自殺などが問題となっています。
GMO遺伝子組み換えコットン大問題 | NOC 日本オーガニックコットン流通機構 (noc-cotton.org)
UNESCO-IHEによれば、1枚のコットン製Tシャツが出来上がるまでに、2,720リットルもの水が使われています。対してオーガニックコットンでは243リットルです(soil association organicによる)。製品加工時だけでも染料や助剤、顔料・樹脂、漂白剤、蛍光漂白剤、柔軟剤等、毒性が強く生分解性の低いもの、アレルギー誘発・発がん性の疑い、内分泌かく乱や生体に蓄積する可能性があるものなど、様々です。決められた水量と濃度のため繊維製品の残量は多くないが、大量の廃水が発生することになります。
またWWFの農薬についてのデータでは、世界の耕作地面積の約2.5%を占めるに過ぎない綿花の栽培面積で、世界の殺虫剤の放出が16%されています。これは、他のどの単一作物よりも多く、世界の農薬使用量の6%以上となっています。
・オーガニックコットンの状況
年間生産量2020年度で35.9万tで、総綿花生産量の約0.95%しかありません。オーガニックの場合生産量の増減が多く、それは輪作することが多いことや天水による生産で干ばつの影響が大きいことが挙げられます。
また規模が小さい傾向にあり、より収入のある他作物への転換や政治的要因(戦闘地域など)に大きく左右されます。
●何が良いの?
原料から流通まで、その
生産過程の追跡(トレーサビリティ)が可能であることです。
綿花栽培過程においては、
・認証機関により認証された農地で2〜3年以上生産されること
・有機栽培の生産方法基準を守り、農薬や肥料の厳格な基準を守ること
製造加工および流通過程では、
・全工程においてトレーサビリティを確保すること
・健康や環境負荷を最小限にすること
・労働者の安全を守ること、児童労働を行わないなどの規範を遵守すること
の条件が必要となります。
水使用量は、上記の通り一般的なコットンに比べ91%少ない。これは小規模農家のため栽培に使用する水のほとんどは天水であること、合成農薬や肥料を使わないことにも起因します。
同時にこのことは水質汚染を98%減らせるというデータがあります(water footprint network)
温室効果ガスは46%少ない。二酸化窒素を放出する肥料・農薬が少なく、機械化農業ではないことが挙げられます(Textile Exchangeより)。
使用後のリサイクルにおいては、合繊でなければ可能だし生分解も可能です。
●サステナビリティ(持続可能性)とエシカル
エシカルとは、英語で、直訳すると「倫理的な」という意味です。一般的には、「法的な縛りはないけれども、多くの人たちが正しいと思うことで、人間が本来持つ良心から発生した社会的な規範」であると言えます。(エシカル協会HPより抜粋)
エシカルな視点と行動を以って、環境や労働福祉、ひいては世界の持続可能性を求めることは、大切であると考えています。